メンタルヘルス

パニック障害とは?突然の発作と再発の恐怖—症状・原因・治療法を解説

パニック障害とは?突発的な発作に襲われる精神障害

パニック障害は、予期せぬパニック発作に繰り返し襲われ、その発作が再び起こるのではないかという強い恐怖心(予期不安)にとらわれる精神障害です。
かつては不安神経症の一種とされ、恐慌性障害とも呼ばれます。

この障害は、生涯のうちに約1.8%の人が経験するとされ、特に若い女性に多い傾向がありますが、近年は男性にも増加傾向が見られるようです。
適切な知識を持ち、早期に治療を開始することが、症状の管理と回復に繋がります。


パニック障害の主な3つの症状

パニック障害の症状は、単なる「不安」にとどまらず、身体的な症状、精神的な症状、行動的な症状の3つが連鎖的に現れるのが特徴です。

1. パニック発作(Panic Attack)

パニック発作は、何の前触れもなく突然、身体的な激しい症状が現れることです。
発作は数分から長くても1時間程度で収まることが多いですが、その間の不安や恐怖は非常に強烈です。

主な身体症状の例

  • 動悸・心拍数の増加
  • 発汗、ふるえ
  • 息苦しさ、窒息感
  • 胸の痛みや不快感
  • めまい、ふらつき
  • 吐き気や腹部の不快感
  • 手足のしびれ、冷感または熱感

2. 予期不安(Anticipatory Anxiety)

一度パニック発作を経験すると、「また発作が起こるのではないか」という不安や恐怖を常に感じるようになります。
この再発への恐怖心が予期不安であり、パニック障害を慢性化させる大きな要因となります。

3. 広場恐怖(Agoraphobia)

広場恐怖は、発作が起きた際に助けを求められない、あるいはすぐにその場から逃げ出せない状況に対して強い恐怖を感じ、避けるようになる状態です。

避ける傾向にある状況の例

  • 電車やバスなどの公共交通機関
  • 人混み(デパート、映画館など)
  • エレベーターやトンネル
  • 一人で外出すること

広場恐怖により、行動範囲が制限され、日常生活や社会生活に支障をきたすようになります。


パニック障害の診断と治療法

パニック障害は、適切な治療とサポートにより、症状の管理や改善が十分に可能です。
早期治療がスムーズな回復につながります。

治療の2本柱

パニック障害の治療は、主に「薬物療法」と「精神療法(認知行動療法)」を組み合わせて行われます。

1. 薬物療法

パニック発作の頻度と強度を抑えるために行われます。

  • 抗うつ薬(SSRIなど):不安を和らげ、発作を予防する効果があります。
  • 抗不安薬:発作が起きた時や強い予期不安がある時に服用し、不安を軽減します。

2. 認知行動療法(CBT)

不安症状が生じる状況や身体感覚に対して、段階的に慣れていくことを目指す精神療法です。

  • 暴露療法:広場恐怖などにより避けている状況に、専門家のサポートのもとで徐々に身を置き、不安に立ち向かう訓練を行います。
  • 認知再構成:「動悸は心臓発作ではないか」といった**誤った認知(考え方)**を修正し、「不安は身体が過剰に反応しているだけ」と正しく捉え直す練習をします。

早期受診の重要性

パニック障害が疑われる症状(特に繰り返す動悸やめまいなど)がある場合は、早めに精神科や心療内科を受診することが強く推奨されます。
正確な診断を受け、適切な治療を開始することが、日常生活への早期復帰の鍵となります。


社会的な理解とサポートの重要性

パニック障害は、単なる気の持ちようやストレスで片付けられるものではありません。
患者さんが社会生活を送る上で、周囲の理解と支援は不可欠です。

パニック障害についての正しい知識を持ち、偏見なく接することが、患者さんの回復を促し、社会全体の健康に貢献することに繋がります。
もし身近に症状を経験している人がいたら、専門の医療機関への相談を優しく促してあげましょう。